技術コラム

曝気槽の仕組みと運転管理

曝気槽

排水処理施設における曝気槽は、処理効率と水質基準遵守の要です。酸素供給量、水温、pH、MLSS濃度といった運転条件を管理することで、微生物の活性を最大限に引き出し、安定した処理性能を実現できます。ここでは、曝気槽の基本的な運転条件と管理のポイントについて解説します。

曝気槽の基本運転条件と管理ポイント

酸素供給量の最適化で効率向上

曝気槽では、汚水中に酸素を供給し、好気性微生物の活動を活性化させます。酸素は散気管撹拌装置を通じて供給され、微生物が効率的に有機物を分解できる環境を作り出します。酸素が不足すると微生物の活動が低下し、処理効率に影響を与えるため、酸素供給量の適切な管理が不可欠です。汚水全体に均一に酸素を供給することで微生物の分解効率が向上するため、酸素濃度の定期的な測定と調整が求められます。

水温管理で微生物活性を維持

曝気槽の水温管理は、微生物の活性維持において極めて重要です。夏場に排水の温度が上がると、微生物の活動が鈍り、いわば「熱中症」のような状態になることがあります。水温が39℃を上回る状態は微生物にとって危険であり、曝気槽の温度管理も重要な運転管理の一つです。適切な水温範囲を維持するためには、冷却設備の導入や運転時間の調整などの対策が効果的です。特に工場排水などの高温排水を処理する場合は、前処理での冷却や希釈による温度調整が必要となります。

MLSS濃度の適正管理と調整方法

曝気槽内のMLSS(浮遊性混合液固形物)濃度は、微生物量の重要な指標です。この濃度が高すぎると汚水の流動性が低下し、装置の運転効率が悪化する恐れがあります。逆に濃度が低すぎると、処理能力が不足する可能性があります。BOD負荷を軽減するためには、槽内の微生物量(MLSS濃度)を最適な範囲に維持することが求められます。施設ごとに適切な濃度範囲が設定されているため、定期的な測定を行い、必要に応じて調整を行うことが不可欠です。

BOD負荷管理で処理能力最適化

曝気槽の運用において、BOD(生物化学的酸素要求量)の負荷を適切に管理することは非常に重要です。負荷が高すぎると微生物の処理能力を超えてしまい、汚水が十分に処理されないリスクが生じます。この結果、BODが高いまま排水されるリスクが高まります。

pH・ORP管理で硝化反応制御

曝気槽のpHとORP(酸化還元電位)を指標とした運転管理により、硝酸性窒素などの低減が可能です。曝気終了時のpHが6.5~7.5、ORPが100mV以上になるように曝気量を調整することが推奨されます。具体的な調整基準として、pH6.5以下かつORP100mV以上の場合は曝気量を減らし、pH7.5以上の場合は曝気量を増やします。曝気量は一度の変更につき1時間~3時間とし、変更したら1週間程度はそのまま様子を見ることが重要です。ORPは曝気槽内の酸化還元状態を示す重要な指標であり、適切なORP値を維持することで、硝化反応と脱窒反応のバランスを取り、効率的な窒素除去が実現できます。

曝気槽トラブルの早期発見と対策

異常状態の視覚的判断方法

曝気槽に異常が起きると、排水の色が通常の茶褐色から真っ黒になったり、水槽が泡だらけになったりと目に見える変化が現れます。これは、微生物が死滅したり、糸状菌などが異常繁殖したりした際のサインです。

当社の汚泥脱水機のご紹介

汚泥脱水機 アイキャッチ画像

曝気槽の不調は、後段の沈殿槽にも影響を与えます。通常、沈殿槽では処理を終えた微生物(活性汚泥)が沈降しますが、曝気槽の不調によって微生物が沈まず、沈降分離ができなくなるケースもあります。

このような沈降分離の課題解決の一助となるのが、日本技建の汚泥脱水機「IK-Sludge Dehydrator」シリーズです。「IKロンメッシュ」フィルタークロスを採用し、含油汚泥や難分解性汚泥の処理にも対応可能です。高い脱水率と固形物回収率を誇り、シンプルな機構で維持管理も容易です。

  • 大型高性能脱水機 IK-Sludge Dehydrator LDW
  • 中型新機構脱水機 IK-Sludge Dehydrator LDX
  • 中型省エネルギー脱水機 IK-Sludge Dehydrator LD
  • 小型高性能脱水機 IK-Sludge Dehydrator LDC
  • 凝集ろ過脱水一体型装置 IK凝集ろ過脱水機 LDB

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これらの汚泥脱水機は、低い消費電力と運転コストで稼働し、騒音や振動が少ないという特徴があります。自動運転も可能で、日々の運用負荷を軽減し、沈殿槽の負担を減らすことにも貢献します。

長期停止時の微生物維持管理対策をご紹介

排水処理設備を1週間以上停止させる場合は、活性汚泥を維持するための処置が必要となります。数日に1回程度、排水の代わりに炭素源となる有機物を曝気槽に添加し、空気を供給することで微生物の活性を維持できます。長期停止後の再稼働では、段階的な負荷増加により微生物の活性を徐々に回復させることが重要です。急激な負荷増加は微生物にストレスを与え、処理性能の低下を招く可能性があります。

  • SS除去装置「IKスクリーン・スキマー」 / 「IKロンメッシュスクリーン」は、ユニークなプレコートろ過方式により、排水中の浮遊物質(SS)、粘性状物質、魚鱗などを効率的に除去する高性能スクリーンです。ろ布が自動再生されるためポンプアップが不要で省エネ型であり、二次処理への負荷を効果的に低減し、処理能力を向上させます。
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  • 凝集ろ過装置「IKフロックスクリーン」は、無機薬品および高分子凝集剤と「IKロンメッシュ」を組み合わせることで、SSを凝集・ろ過する簡易排水処理システムです。二次処理の負荷を軽減し、設置スペースが小さく、設備費も抑えられるため、曝気槽の安定稼働に寄与します。
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  • 高分子凝集剤「アイケイフロック」は、排水中のSSやBODの除去、脱水効率の向上、汚泥の濃縮に様々なタイプが利用されます。アニオン系、ノニオン系、カチオン系など、排水の特性に応じて最適なものが選定可能です。強固で大きなフロックを形成し、沈降分離、スラッジの濃縮・脱水、無機凝集剤との相乗効果、および作業性の改善に優れています。
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曝気槽でお困りなら日本技建におまかせください

日本技建

日本技建は、40年以上にわたり排水処理の課題に取り組み、独自の三次元機能性ろ布「IKロンメッシュ」技術を中核とした排水処理ソリューションを提供しています。これらの多岐にわたる製品とサービスを通じて、都市下水、し尿、各種産業排水(製紙、食品、水産、畜産、化学、サービスなど)の幅広い分野における排水処理の課題解決に貢献しています。

排水処理に関するお困りごとがございましたら、ぜひお気軽に日本技建までご相談ください。>>お問合せはこちら

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