技術コラム

好気性生物処理とは何か?基本から解説!

今回は、排水処理における重要な技術の一つである「好気性生物処理」について、その基本から導入効果までをわかりやすく解説します。この記事を通して、好気性生物処理の理解を深め、貴社の排水処理における課題解決の一助となれば幸いです。

好気性生物処理とは何か?初心者向け解説

好気性生物処理は、排水中の有機物を微生物の働きを利用して分解・除去する処理方法です。特に、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)といった有機物指標の低減に効果を発揮します。

好気性生物処理の定義と基本原理

好気性生物処理とは、酸素が存在する環境下で、好気性微生物が有機物を分解するプロセスです。好気性微生物は、有機物を栄養源として利用し、最終的に二酸化炭素と水に分解します。この反応によって、排水中の有機物濃度を下げることができます。

基本原理は、以下の通りです。

  1. 好気性微生物が有機物を細胞内に取り込む。
  2. 取り込んだ有機物を酸化分解し、エネルギーを得る。
  3. 酸化分解の過程で、二酸化炭素と水を生成する。
  4. 微生物は、増殖に必要なエネルギーと物質を得て、個体数を増やす。

好気性微生物の役割と種類

好気性生物処理に用いられる微生物は、様々な種類が存在します。代表的なものとして、バチルス属、シュードモナス属、パラコッカス属などが挙げられます。これらの微生物は、それぞれ得意とする有機物の種類や分解速度が異なります。

  • バチルス属: タンパク質やデンプンなどの高分子有機物の分解に優れています。
  • シュードモナス属: 多様な有機物を分解できる能力を持ち、環境適応性が高いです。
  • パラコッカス属: 特定の有機物を分解する能力を持ちます。

排水の特性に合わせて、これらの微生物を適切に組み合わせることで、効率的な有機物除去が可能になります。

排水処理における好気性生物処理の位置づけ

排水処理は、一般的に物理処理、化学処理、生物処理の3つのプロセスで構成されます。好気性生物処理は、この中で生物処理に位置づけられ、物理処理や化学処理では除去しきれない溶解性有機物の除去に重要な役割を果たします。後段に続く高度処理(膜分離、活性炭吸着など)の前処理としても機能し、全体の処理効率を高めることができます。

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好気性生物処理の仕組みと主要な構成要素

好気性生物処理は、様々な方式がありますが、ここでは最も一般的な活性汚泥法を例に、その仕組みと構成要素を解説します。

活性汚泥法の基本プロセス

活性汚泥法は、活性汚泥と呼ばれる微生物の凝集体を利用して、排水中の有機物を分解する処理方法です。基本的なプロセスは以下の通りです。

  1. エアレーションタンク(曝気槽): 排水と活性汚泥を混合し、酸素を供給しながら有機物を分解します。
  2. 沈殿槽: エアレーションタンクから送られてきた混合液を静置し、活性汚泥を沈殿させます。
  3. 返送汚泥: 沈殿した活性汚泥の一部をエアレーションタンクに戻し、微生物濃度を維持します。
  4. 余剰汚泥: 沈殿した活性汚泥のうち、余剰分を系外へ排出します。

このプロセスを繰り返すことで、排水中の有機物を効率的に除去することができます。

曝気装置の役割と種類

曝気装置は、エアレーションタンク内に酸素を供給する役割を担います。酸素は、好気性微生物が有機物を分解するために不可欠です。曝気装置には、様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的なものとして、散気管や撹拌装置が挙げられます。

  • 散気式曝気装置: 圧縮空気をディフューザーと呼ばれる散気装置から水中に放出し、微細な気泡を発生させることで、酸素を溶解させます。
  • 機械式曝気装置: 水車や攪拌機などの機械的な力で水面を攪拌し、空気中の酸素を水中に溶解させます。

排水量や設置場所の条件に合わせて、最適な曝気装置を選定することが重要です。

沈殿槽の機能と設計ポイント

沈殿槽は、エアレーションタンクで処理された排水から、活性汚泥を分離・沈殿させる役割を担います。沈殿槽の設計は、活性汚泥の沈降速度や水温、排水量などを考慮して行う必要があります。沈殿槽の底部は、汚泥が中央に集まりやすいようにすり鉢状や傾斜状になっているのが一般的です。

  • 表面積負荷: 沈殿槽の単位面積あたりに流入する排水量を指します。表面積負荷が大きすぎると、活性汚泥が十分に沈殿せず、処理水質が悪化する可能性があります。
  • 水深: 沈殿槽の水深が浅すぎると、活性汚泥が舞い上がり、処理水質が悪化する可能性があります。

適切な設計を行うことで、安定した処理水質を確保することができます。

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